「網膜剥離」の顛末 (3)

手術が終わって病棟に戻るとこんなベッドがお待ちかねです。

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眼球に封入したガスがその浮力で網膜を押さえつけるためには顔を下向きにしなければなりません。
しかも常時その姿勢が求められます。
起きている時も寝ている時も、食事の時もトイレに歩いていく時も。

寝ている時は青いクッションの窪みに顔を入れてうつ伏せの姿勢にしています。
それはまるで井戸の中を見下ろしている感じです。

普段うつ伏せで寝るという慣習はありませんから、長時間この姿勢を保っていると肩から腕にかけて
疲労がたまります。
胸も圧迫されます。
額やあごも押しつけられます。
しかし治癒のために必要だということになればああだこうだ言っていられません。

なるべく楽な姿勢がとれるようにとタオルなどをあっちこっちに差し込んで試してみました。
それで大分楽にはなりました。

私の場合剥離個所が眼球の上部だったので術後4日目から日中はイスに座って頭を上げていても
良いという指示をもらいました。
うつ伏せで寝ているよりはかなりましでしたが、それでもイスに座ってじっとしていなくてはならない
というのも結構苦痛でした。

封入したガスが徐々に水に置き換わり完全にガスが抜けるまではこの姿勢を保つことが求められます。
硝子体部分に水が入ってくるとガスとの界面が視野の中で見えますから今どの程度にガスが
減ってきているかを実感することが出来ます。
1週間ほどは緊張感もあるし、ガスが減って水が順調に増えていくのが確認できたので我慢も
出来ました。

しかしガスが半分ほど抜けた頃から3,4日間はほとんど界面レベルが動きませんでした。

ともかく暇です。
何にも出来ません。
本でも読みたいのですが、見える目を動かすと手術した方の目も同時に動きます。
片目だけを使う苦痛と、手術した目にも良くないという思いから本を読むことも諦めました。


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やれることはラジオを聴くことと持ち込んだMDで音楽を聴くことくらい。
音楽はしばらくは暇な時間を癒してくれましたが、次第にそれにも飽きてきました。
ラジオだけが何とか時間をつぶしてくれました。

一日三度の食事と六回の点眼、それに午前と午後の検診。
あとはラジオを聴きながらイスに座ってじっとしているかベッドに伏せているかしかないのです。
安静を指示されていましたから売店に行ったりとかも出来ません。

ガスは期待したようには抜けてくれない。
ストレスだけが猛烈に貯まりました。
看護士さんへの応対も次第にいい加減になるのを自覚するのですが、どうしようもありません。
ただただ時間が過ぎていくのをじっと待つだけでした。

それは「耐え難き空白の時間」とでも言うべきものでした。


  (つづく)







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この記事へのコメント

2008年07月10日 20:01
大変な手術だった様子…即入院!即手術で
軽症の内の治療とはいえ、術後の不自由さ!!
お察しします。。少し…想像できます!
事故で眼の手術してますので。。
決してご無理なさいませんように。

私が眼の手術をした時は、事故の直後で…
視力が無かったので…意識はあったけど~~
何をされているか見えませんでした!
見えたら怖いでしょうね!

冷静に判断できるなんて凄いです。
一日も早く視力が100%まで、戻られますように。
ダメダ爺
2008年07月11日 15:38
satsukiさん
今日手術後最初の検診に行って来ました。
経過は順調でした。
でも今しばらくは無理をしないようにとのこと。
網膜に孔の空いた部分は結局視力は戻らないそうなので
100%回復とは行かないようです。
幸いその部分は普通に物を見るにはさほど邪魔にならない所なので
助かります。
ドイツ特派員
2008年07月12日 23:50
お久しぶりです。

大変ですね。というか、それで冷静に事を見ている事に、自分の未熟さを反省することしきりです。

眼というのは怖いですよね。柳田邦男の「Sacrifice」でも、息子さんのご苦労が書かれていました。

落ち着いたらまた。
ダメダ爺
2008年07月14日 10:50
ドイツ特派員さん お久しぶりです

ちっとも冷静でなんかおりませんでした。
毎日がイライラ続きで。
何もすることが無いというのがいかに大変かよーく分かりました。

糖尿病由来の目の病気は大変そうですのでこちらも気をつけないとと思っています。
齢を重ねつつ健康を維持することの大変さをじわじわと実感しています。

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